【映画】『女工哀歌(エレジー)』ペレド監督(アメリカ)
公式サイト『女工哀歌』(原題:CHINA BLUE)私たちにとって「ジーンズ」はもっとも身近な服。その生産過程を追って、世界の衣料品の大半を生産している中国の工場に密着したドキュメンタリー。圧倒的なコスト削減と技術力の向上により、今や“世界の工場”となった中国。その裏側を探るため工場で働く10代の少女たちの日常生活に迫ります。(公式サイト イントロダクションより)
ドキュメンタリーに登場するのは主人公ジャスミンほか10代半ばの少女たち。できたジーンズの糸くずを切る係のジャスミンはその中でも最も給料が低い。時給7.5円。残業代はでず、食費も寮のお金も差し引かれ、哲也はしょっちゅうという過酷な労働。そんな工場なのに、より低コストで仕事を受注せざるをえない工場長(もと警察署長)、値段をたたく先進国のバイヤーと視察に訪れるだけの多国籍企業の人々。
影像を見る私達先進国の消費者に、監督は「このドキュメンタリー上映の間にも、彼女たちは60本のジーンズを作る」現実をつきつける。
彼女たちには、過酷な生活の中にもそれなりの夢や希望が見つけられる。時給がわずかで、残業代が出なくても、しょっちゅう徹夜させられても、食費や宿舎費、お湯代を払ってでも、農村の実家にいるよりマシな中国の”現実”。裁縫係になって”出世”すれば、よりましなお給料がもらえる”現実”。
淡々とした語りのドキュメンタリーは、当初、中国当局側の妨害によって何度も失敗した挙句、最後は工場長をだまして撮ったという熱く粘り強い戦いの賜物。隠しカメラらしき影像は、ちょっと見ているのが辛い角度だったり画像だったりもする。でも目が離せない。
監督はスイス生まれのイスラエル育ち。輸入業、教師、ガードマン、ジャーナリスト、原子炉凍結のためのスタッフ、選挙事務所マネージャー、旅行ガイドなど様々な職業を転々とした後、ドキュメンタリー映画監督になったというすごい経歴。多くの場面を見ているからこその強みは、このドキュメンタリーでも随分と生かされているように思う。この作品はアメリカ、ドイツ、オランダ、ニュージーランド、スペイン、イタリア、フランス、デンマークで上映されたとのこと。中国は上映禁止。当然か・・・。
一緒に映画を見ていた夫が、「1960年代の大阪泉州の繊維工場みたいだ・・・」とポツリ。
「そこから東洋の魔女がでたんだよな」と言う。
じゃ、40年後・・・いや、10年後の中国はどうなっているんだろう?
5年後すら、想像がつかないような気がするのはなぜだろう?
とりあえず、安いだけのジーンズは買わないようにしよう。
そのジーンズを手に取るたびに、ジャスミンやオーキッドたちの顔を思い浮かべないように。
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