子供と一緒にお仕事の日々

大阪在住。育児と仕事と読書、映画、料理、旅など (旧ちま' shomepageは一時閉鎖中。読書やレシピデータはこちらのblogへ移動予定)
No  758

中国からの依頼

予定通り外交史料館での調査を終えて、国会図書館へ。
でも、期待していた史料はスカ。1つは、別の案件だったし、もう一つは記録違い。せっかく時間が余ったので、できる限りの範囲で下調べをしておくしかなかった。とほほ・・・

その代わりといってはなんだけれど、たまたま東京へ来る直前に北京から依頼メールが来ていたので、そちらの史料調査をした。
昨年、ちょっとしたご縁があって、何度かお話しただけの北京大学の院生のJさん。何カ国語も堪能で、おどろくほど思考が柔軟で、ものごし柔らかで、とても中国人とは思えない(言い過ぎ)人。どこからどう見てもO大に留学するような人には見えなかった。教授に聞いたら、特別待遇で日本に来ていたとのこと。来日したときには日本語も全くしゃべれなかったのに、電子辞書片手に半年くらいでマスターしたらしい。

で、その後会う機会もなかったJさんからメールが来たのは、友達とそのおじいさんのため。
なんでも、Jさんの友達のおじいさんは、戦争中日本と必死に戦ったのに、国民党軍に所属していたため共産党が政権をとった中華人民共和国ではずっと不遇だったとのこと。最近は高齢で一時危ない状態になったけれど、なんとか持ち直した。それで、死ぬ前に長年の心残りだった「名誉回復」を強く望んで、いるのだけれど、なにせ中国のことだから彼の軍のことなんかどこにも史料が残っちゃいない。
彼の孫とその友人であるJさんが、インターネットなんかをつかって調べた結果、どうやらおじいさんと戦った日本の部隊がわかった。だから、私にその連隊の記録を探して欲しいというのだ。

国会図書館でみつかった連隊史には、几帳面だった連隊長が肌身離さず持ち歩いた記録があり、連隊長は戦後それを自宅の仏壇に供えて毎日お教を読み、遺族に部下たちの最後を伝えたいと思っていたと書いてあった。他にも、防衛庁の戦史史料や当時の新聞記録なんかまで網羅的に記述した連隊史も見つかった。読んでいると、当時の兵隊さんたちの息使いまで伝わってきそうな史料で、こういうものをきっちり刊行できる日本はすごいと思う。同郷の人たちで組織している強みが生かされているし、戦後のフォローにもしっかり機能しているんだから。そして、この史料が戦後60年以上もたって中国の元軍人さんの役に立てるのかと思うとかなり感動する。

銃後の中国社会―日中戦争下の総動員と農村銃後の中国社会―日中戦争下の総動員と農村
(2007/05)
笹川 裕史、奥村 哲 他

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