子供と一緒にお仕事の日々

大阪在住。育児と仕事と読書、映画、料理、旅など (旧ちま' shomepageは一時閉鎖中。読書やレシピデータはこちらのblogへ移動予定)
No  803

【本】『中国動漫新人類』遠藤誉、日経BP社、2008年

中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす (NB Online book)中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす (NB Online book)
(2008/01/31)
遠藤 誉


「たかがマンガ、たかがアニメ」が中国の若者たちを変え、民主化を促す--? 日本製の動漫(アニメ・漫画)が中国で大流行。その影響力は中国青少年の生き方を変え、中国政府もあわてて自国動漫産業を確立しようとやっきになっているほど。もはや世界を変えるのは、政治的革命ではなく、大衆の意識や行動を生活レベルで動かすアニメや漫画のようなサブカルチャーなのだ!しかも、日本動漫が中国で大人気となったのは、「悪名高き」海賊版DVDやコミックのおかげ。「ただ同然」のコンテンツがあったからこそ、日本の動漫は中国の貧しい若者や子どもたちに消費してもらえ、知名度を確立できた。日経ビジネスオンラインでの連載中から大反響の本企画がいよいよ単行本化。現代中国論としても、日中関係論としても、サブカルチャー論としても、比較文化論としても、これまでにない論点を提示し、かつ、膨大な取材に基づき驚くべき事実を掘り起こした中国ノンフィクションの決定版!



日経のウェブサイトに掲載されているころから注目していた記事。
サブタイトルは「日本のアニメと漫画が中国を動かす」
書籍になって、より読みやすく、史料も充実して満足できる内容だった。
日本の漫画やアニメが中国、台湾、香港で受入れられているという現状報告だけでなくて、いつ頃からどういう経緯でアニメやマンガが中国にやってきて、受入れられていったのか詳しく書いてあるのがうれしい。

で、興味深かったのは、日本のサブカルチャーがまず台湾で受入れられ、そこで中華的に「ろ過」されて香港や中国へ入っているという指摘。戦前、日本の植民地だった台湾の日本語的な文化の素地がで日本のサブカルチャーを取捨選択して翻訳・リメイク。それが中国大陸で受入れられる・・・というわけ。すべての日本のサブカルチャーが受入れられるわけではないし、好まれているわけでもないというのは示唆的。

なんか、似たような話をどっかで読んだあるような・・・と思ったら『村上春樹の中の中国』だった。まず、台湾で受入れられた村上春樹(台湾訳)が香港訳を経由して中国へ受入れられて中国訳がでるという。

旧植民地だった台湾の位置っておもしろいなあ・・・ふむふむ。


関連リンク
『村上春樹の中の中国』読書メモ
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No  802

【訃報】氷室冴子さん

「なんて素敵(すてき)にジャパネスク」「海がきこえる」などで少女小説のブームを担った作家の氷室冴子(ひむろ・さえこ、本名碓井小恵子〈うすい・さえこ〉)さんが6日、肺がんで死去した。51歳だった。通夜は9日午後6時、葬儀は10日午前9時30分から東京都新宿区早稲田町77の龍善寺で。喪主は姉木根利恵子さん。 アサヒ.コム 2008年06月06日22時07分



ありえない・・・信じられない。まだまだきっと、氷室さんの小説が読めるもんだとばっかり思っていた。
私の暗いだろう中学・高校時代を明るく前向きにしてくれた作家さん。恩人とも言えるくらい。ご冥福をお祈りします。

「さようならアルルカン」は私の青春の宝物。『なぎさボーイ』も『多恵子ガール』も『北里マドンナ』も。『銀の海 金の大地』も。『クララ白書』も『アグネス白書』も。それから、それから『蕨ヶ丘物語』も。他にもたくさん思い出の作品がある。『なんて素敵にジャパネスク』『ざ・ちぇんじ』『シンデレラ迷宮』『海がきこえる』・・・多分きっと氷室さんの作品は全部名前をあげれるはず。

新幹線代を払っても、柩に花をお供えさせて欲しいかも。
せめて、花を送りたい。
今度、東京行ったら、お花にはぜひとも立ち寄って、お線香あげさせてもらおう。
(葬儀が東京ってことは、北海道じゃないよね、お墓)
合掌。


■大昔の感想
『さようならアルルカン』
『なぎさボーイ』『多恵子ガール』『北里マドンナ』
『恋する女たち』
『クララ白書』『アグネス白書』
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No  780

【本】『村上春樹のなかの中国』藤井省三、朝日新聞社、2007年

村上春樹のなかの中国 (朝日選書 826) (朝日選書 826) (朝日選書 826)村上春樹のなかの中国 (朝日選書 826) (朝日選書 826) (朝日選書 826)
(2007/07/10)
藤井 省三



夫は相変わらず休日出勤だけど、半日だけなのでゆっくりできた週末。
娘にはDVDを見せておいて、ひさしぶりの趣味の読書。心のオアシス・・・幸せ。

さて、村上春樹。
じつは、高校時代に『中国行きのスローボート』で挫折して、以後、まったくご縁はないですけど、でも村上春樹を好きな人の話とか、評論とか結構好きで読んでいます。まあ、そもそも原典読んでないから斜め読みもいいところだけれど。
この本は、村上春樹が台湾、香港、中国でどのように受け入れられているのかという、(1)中国語圏のなかの村上春樹と、(2)村上春樹本人の中の中国について。以下、読書メモ。

(1)については、それぞれの国と地域で、どんな順序で翻訳が出て、どんな風に売れて(受入れられて)いったのかを丁寧にたどっていておもしろかった。台湾、香港では80年代、中国では90年代に、高度経済成長にともなう人間疎外、そして政治的民主化運動が過ぎ去ったあとの虚脱感が村上ブームを招来したという。

(2)については、神戸という港町で中国人を身近に育った村上春樹にとって、「中国」とは記号。
そして、敬虔な仏教徒でのちに実家をついで僧侶となった村上の父の中国出征の記憶のねじれ。

父親は戦前は将来を期待された京都大学の学生だった。在学中に徴兵で陸軍に入り、中国へ渡った。村上は子供の頃に一度、父親がドキッとするような中国での経験を語ってくれたのを覚えている。その話がどういうものだったかは記憶にない。目撃談だったかも知れない。あるいは、自らが手を下したことかもしれない。ともかくひどく悲しかったのを覚えている。彼は、内証話を打ち明けるといった調子ではなく、さり気なく伝えるように抑揚のない声で言った。「ひょっとすると、それが原因でいまだに中華料理が食べられないのかもしれない。(63頁)



へえ・・・と思ったのが、村上春樹への魯迅の影響。香港の鄭教授にインタビューを受けたといの村上春樹の答えはこう。

「(中国文学は)主に古典的名著で、少し読んだだけです。系統性などありません」と謙遜しつつ、「今覚えている小説家は魯迅です。[ほかの現代作家は]覚えていません」(11頁)


そうだったのか。

・・・村上のデビュー作『風の歌を聞け』・・・の書き出しに記された「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね」という一句は、魯迅の言葉「絶望の虚妄なることは、まさに希望と相同じい」を連想させないだろうか。(14頁)



単純に比較すれば、重さも響きもかなり違うと思うけど、でもまあ、そうなんだろうな。
にしても魯迅の言葉、重いな・・・

あと、単純にとても印象にのこったのが、台湾アイデンティティについての以下の部分。
少し前の台湾の総統選挙の結果もあって、興味深い。

・・・九〇年代半ばに遡れば、ネーション創出よりも社会的平等により多くの関心を抱いていた私にとって、実はその時期は民進党がこの一〇年の中で最も「進歩的」である可能性を持っていた時期である。当時の一連の福利国家の主張は、民進党がこの島にヨーロッパ社会民主主義体制を出現させうるかもしれない優れた想像力を展開していた。
 惜しいことに、俗に媚びる選挙主義がたちまちこのような想像力を埋没させてしまい、これに取って代わったのがナショナルアイデンティティの闘いであり、たやすく動員できて大して想像力がいらない新路線であった。(102頁)


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No  768

【本】『空中ブランコ』 奥田 英朗

空中ブランコ (文春文庫 お 38-2)空中ブランコ (文春文庫 お 38-2)
(2008/01/10)
奥田 英朗



『イン・ザ・プール』に続く伊良部一郎シリーズ第二弾。
予想通り、おもしろかった。
一日、娘の相手をしないといけない日曜日の息抜きにぴったり。
気に入ったのは、タイトルにもなっている「空中ブランコ」そして「女流作家」、ハリネズミ」かな。

でも、伊良部センセ、前作に比べてアクがぬけちゃって・・・
なんだかそれがとっても残念。
あの過剰な幼児性と自己愛の強さが結構チャームポイントだったのに、、、



余談だけれど、伊良部センセと夫はよく似ている気がする。
根拠のない自信満々さ、どんなときでも自己肯定できちゃうあたりが。
私みたいにデリケートな人間からすると、「ちっとはわが身を振り返れよ!」と腹立つことがしばしば。あきれるし、ときにはうらやましくもあるほど。
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No  767

【本】『イン・ザ・プール』奥田英朗、文春文庫、2006年

イン・ザ・プール (文春文庫)イン・ザ・プール (文春文庫)
(2006/03/10)
奥田 英朗



今頃・・・かもしれないけど、おもしろかった。
先日おもしろかった『チーム・バチスタの栄光』の白鳥に似てるとかいう精神科医が主人公だということで図書館で借りる。以前、雑誌にも紹介記事が出ていたのを思い出して。結果は即、読了。あんまりおもしろかったので、夫にも見せたら、これまた一晩で読んだらしい。

伊良部医師を訪ねてくる患者のどの人たちも、なんだかそれぞれ身につまされる部分があって、共感できる。人間ってのは、つくづく精神でできていて、脳はときどき暴走して身体と不協和音を起こすものなんだなあと・・・いや、小説なんですけどね。本職のお医者さんが読んだらどういう感想を持つんでしょう?

「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。

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